TUTORIAL — 作り方2 描画ツールで作る 2-1

はじめての洋梨

洋梨の絵を下絵に敷いてなぞり、文字のスタンプと縫い目の縁取りが入った型を作ります。描画ツールの基本の操作と、最低限おぼえたいキーを、少しずつ体験します。

このレッスンで作るもの
洋梨の形のクッキー型。テキストのエンボススタンプとアップリケ風の縁取りエンボスのセット(約 53 × 65 mm)
所要時間: 約30分 / 使う道具: 画像読み込み・スプライン・選択・断面・文字・縁取りエンボス
できあがりの3D。洋梨の型の中に筆記体のPearの文字が浮き出し、刃の内側の棚に目盛りの縫い目が一周並ぶ。右横に円柱のステム
このレッスンの完成形
このレッスンでおぼえるキー 作業の効率化のために、ショートカットキーはぜひ覚えてみましょう!英字入力になっていることを意識してください(Windows は ⌘ を Ctrl に読み替え)。
Sスプライン(クリックした点を通るなめらかな線)
V選択(選ぶ・動かす・大きさ・回転)
T文字
Enter描いている線を、開いたまま確定
Aダイレクト選択(点・ハンドルを直す)
⌘Z / ⇧⌘Z取り消し / やり直し
⌘A全部を選ぶ
⌘G / ⇧⌘Gグループにする / グループを解除
Uステム(押し手)

① 下絵を読み込む

練習用の洋梨の絵を下のリンクから保存してください。

練習用の洋梨の線画。実と、左上の葉と、上の茎練習用の絵を保存する(pear.png)

  1. 左の 画像読み込み を押して、保存した絵を選びます。スケッチに「下絵(キャンバス)」として敷かれます。
  2. パネルの 不透明度 を調節して、下書きしやすい濃度にして 閉じる を押します。
  3. 縦横に表示される寸法を目安に、幅 50 mm くらいにざっくり大きさを決めて、左上の鍵マークでロックします(下絵が動かないように)。ロックした下絵は、クリックしても画像のパネルが出ません。パネルを出したいときはダブルクリックします。できあがりの大きさとあまり違うと、あとで直すのが大変です。
下絵として敷かれた洋梨の絵。角のノブ・回転ノブ・大きさの数字と右上の鍵ボタンの付いた枠があり、右上に不透明度だけのパネルがある

② スプラインでなぞる S

S でスプラインにして、洋梨の実と葉の外側の輪郭の上を、ぐるっと一周するようにクリックします。クリックした点を通るなめらかな曲線になります。

  • 茎はなぞりません。細い茎は型から生地が抜けにくいので、クッキーにしてからアイシングやトッピングであしらいます。葉の付け根から、茎の下をくぐるように実の上へつなぎます。
  • なめらかな所は点を少なく、角の所は細かくクリックします。葉の先や、葉と実の付け根は、角の手前と先に点を寄せて打つと、角がきれいに出ます。
  • 打ち始めは実の下のほうがおすすめです。最初の点の近くをクリックすると線が閉じるので、角の近くから始めると、細かく打つ途中で閉じてしまいます。
スプラインで洋梨の輪郭をなぞっている途中。実の下から打ち始め、葉をまわって茎の手前まで来ている。最初の点の上にチェックの印がある
なぞっている途中。青い数字=今の大きさ(mm)

一周したら、最初の点をクリックするか、最初の点の上の チェックを押して閉じます。

点を置きまちがえたら ⌘Z(取り消し)。やり直しは ⇧⌘Z です。

③ 「カッター」にする

閉じると横に出る役割のボタンで カッター を選びます。

SketchCookie では、描いた線ひとつひとつに「役割」を決めます。

役割その線が何になるか
カッター刃先
エンボスエンボスにすると、スタンプ台も自動で生成されます。
模様縁取りエンボスなどの模様として、右のパネルの「Pattern Collection」に登録します
Ornament刃のない板。形のとおりの板の上に、中の図形を高さを変えて積みます
閉じた洋梨の形の上に、役割のボタンが出ている

役割はあとから右クリックで変えられます。くわしくは 役割とセット へ。

④ 選んで、大きさと向きを整える V

V で選択ツールにして、洋梨の線をクリックするとバウンディングボックス(青い枠)が出ます。

選択した洋梨のまわりに青い枠。角と辺に四角いノブ、上と左に回転ノブ、0°の角度、下に52.4、右に64.7の大きさの数字、右下に鎖のマーク
青い枠=バウンディングボックス。数字は今の大きさ(mm)と角度
やりたいこと操作
動かす枠の中をドラッグ
大きさを変える角や辺のノブをドラッグ。Shift を押しながら=縦横比を保つ/Option を押しながら=中心を基準に
数字で決める下(幅)・右(高さ)の数字をクリックして入力。右下の鎖マークがつながっていると、縦横比を保ちます
回す上か左の丸いノブをドラッグ(Shift で45°刻み)。角度の数字をクリックして入力も可

試しに高さの数字をクリックして 65 と入れてみましょう。元に戻すなら ⌘Z。

⑤ カッターの断面で調節する

まずカッターを仕上げます。V で洋梨の線(カッター)を選ぶと、右のパネルの カッター に断面図が出ます。型を縦に切った形で、刃の厚み・刃の高さ・補強・フランジ(つば)の寸法が数字で並びます。

右のパネルのカッターの断面図。刃の厚み0.4、刃の高さ14、補強の高さ10、フランジの幅と高さが描かれている(スタンプ台はまだ無い)
断面図。いちばん上の 0.4 が刃の厚み

断面図の上の 刃の形状 で、刃の作り方(段差/面取り)を選べます。刃のすぐ内側に模様を並べる 縁取りエンボス は、刃の形とは別に、エンボスの形状 の欄でオンにします(⑧)。

段差の刃の3D。薄い刃の下に太い補強があり、段が付いている段差
面取りの刃の3D。根もとから刃先へ、なだらかに細くなっている面取り
縁取りエンボスの3D。刃のすぐ内側に棚があり、その上に目盛りの模様が縫い目のように並んでいる縁取りエンボス(2-4)

くわしくは 断面と出力設定 へ。

ここで一度保存しましょう 作っている型は、このままではブラウザの中にしか残っていません。ブラウザのデータが消えると、型も消えてしまいます。右上の 保存 を押して、パソコンに作業ファイル(.skc)として保存してください。保存はこまめにしましょう。
  • はじめて保存するとき:保存する場所と名前を選びます(例:Pear.skc)。
  • 2回目から:上書き保存 か 別名で保存 を選べます。同じファイルを更新していくなら上書き保存、ここまでの形を残して別に試したいときは別名で保存(例:Pear_縁取りあり.skc)にします。
  • 続きを作るとき:右上の ファイルを開く で .skc を開きます。
  • ブラウザの ⌘S では保存されません。上書き保存と保存場所を選べるのは Chrome・Edge です(ほかのブラウザでは、ダウンロードのフォルダに保存されます)。

⑥ 文字のエンボスを入れる T

カッターができたら、スタンプの模様(エンボス)を入れます。ここでは文字で「Pear」と入れます。

  1. T で文字ツールにして、洋梨の真ん中あたりをクリックします。文字のパネルが開きます。
  2. Pear と打ちます。
  3. フォント を選びます。ここでは筆記体のフォント(Nickainley)を、横の + でフォントファイルから読み込んで使っています。お手持ちのお好きなフォントでどうぞ。
  4. サイズ を 18 mm にします(文字の幅が約 33 mm になります)。
  5. エンボス を押して、完了 を押します。
文字のパネル。フォントはNickainley、サイズ18mm、揃え・字間・行間、下にアウトライン化・エンボス・カッターのボタン。エンボスが選ばれている
文字のパネル。「エンボス」を押してから完了

エンボスを入れると、洋梨のカッターにスタンプ台(模様を押し当てる台)が自動で付き、3Dでは台の上に文字が浮き出ます。文字は⑨でアウトライン化するまで文字のままなので、打ち直せます。動かすときは V で文字をドラッグします。

左のスケッチに、洋梨のカッターと文字Pear。右の3Dに、スタンプ台の上に浮き出たPearの文字
文字のエンボス。3Dでスタンプ台の上に浮き出る

スタンプ台ができたので、もう一度カッターを選んで断面図を見ると、刃の内側にスタンプ台が描かれています。型とスタンプ台のすき間(スタンプ台が型の中で引っかからないための遊び)も、ここで数字を変えられます。はじめの 0.4 mm のままで大丈夫です。

エンボスの設定をする

V で文字を選ぶと、右のパネルの エンボスの形状 で設定を変えられます。

右のパネルのエンボスの形状。エンボスを一括編集、面を反転、エンボス断面(段差)、立ち上げ方式(面・塗りつぶし)
  • エンボス断面:模様の立ち上がりの形(段差・台形・ドームなど)
  • 面 / 線:囲んだ中を塗って盛り上げるか、線だけを盛り上げるか
  • エンボスを一括編集 をオンにすると、全部のエンボスをまとめて変えられます。

ほかのエンボスの描き方

描き方使い方
スプライン S線の上を何か所かクリックし、閉じない線は Enter で開いたまま確定。出てきた役割のボタンで エンボス
ブラシ Bパネルの 形(点・ステッチなど)を選んでなぞる。描いたときから自動でエンボス。間隔・太さ を変えると、描いた線がその場で変わる
図形(星など)クリックしてパネルで大きさを入れ、役割 を エンボス にして 確定。星は中心から真上にドラッグするとまっすぐ立った向きになり、そのあと Shift を押したままドラッグで45°刻みに回せる

⑦ 開いた線でエンボスを描く S A

葉の葉脈や、実の上の弧のような線の模様は、スプラインで開いた線を描いて、その線を押し出します(エンボス)。

  1. S でスプラインにして、葉の中を、葉脈に沿って4か所くらいクリックします。描き始めの点から、次の点に向かって線が出ます。
  2. 最後の点を打ったら Enter を押します。線は閉じずに、開いたまま確定します。
  3. 出てきた役割のボタンで エンボス を選びます。
スプラインで葉の中に葉脈の線を描いている途中。打った点を通る赤い線葉脈に沿ってクリック
Enter で開いたまま確定した葉脈の線と、役割のボタンEnter → 役割は「エンボス」

実の上の弧も、同じように3か所くらいクリックして Enter、エンボス にします。

線の幅を変える

V で線をクリックして選び、右のパネルの エンボスの形状 で 線 の 線幅 を変えます。ここでは葉脈を 0.5 mm、実の上の弧を 1 mm にしています。線端(線の先の形)や角の形状もここで選べます。

右のパネルのエンボスの形状。面と線のうち線が選ばれ、線幅0.5mm、線端と角の形状の選択肢
線を選ぶと、線幅・線端・角の形状が出る

ダイレクト選択で形を直す A

A でダイレクト選択にして線をクリックすると、打った点(アンカー)と、曲がり方を決めるハンドルが出ます。点をドラッグすると線の形が変わり、ハンドルの先をドラッグすると曲がり方が変わります。直し終わったら V に戻します。

ダイレクト選択で葉脈の線の点をドラッグしているところ。点とハンドルが青く表示されている
点をドラッグして、葉脈の曲がりを直す
3Dを上から見たところ。葉の中に葉脈、実の上に弧の線が浮き出ている
3D では、線の幅のまま台の上に浮き出る

⑧ 縁取りエンボスで縫い目を付ける

アップリケのように、縁に縫い目を入れます。V で洋梨の線(カッター)を選び、右のパネルの エンボスの形状 にある、オークルの破線の札 縁取りエンボス を押します。

出てきたオークルの地の組 縁取りエンボス の 模様 で 目盛り を選び、お好みまたは下の値にします。

設定値
線の太さ0.6 mm
目盛りの長さ3 mm
間隔(すき間)3.5 mm(これより細かいと、目盛りのすき間に生地が入り込んで型から抜けにくくなります)
位置(刃から模様の外側まで)0 mm(刃にぴったり接する)
縁取りエンボスで目盛りを選び、線の太さ0.6mm・目盛りの長さ3.0mm・間隔3.5mm・位置(刃から模様の外側まで)0.0mmにした右のパネル

高さは断面図で調節。断面図の ⤢ 拡大 で大きくして、刃の高さ 14・補強の高さ 10・目盛りの出っ張り 2 にします(数字をダブルクリックして入力)。棚(台)の高さは補強の高さといつも同じで、棚の幅は模様の長さと位置に合わせて自動で決まります(ここでは 3)。4mmのクッキー生地に2mmの深さで縁取りが刻まれる設定です。

拡大した断面図。刃の高さ14、補強と棚の高さ10、その上に目盛りが2出っ張り、棚の幅3。目盛りは刃に接している
刃 14・補強(=棚)10・目盛り 2・棚の幅 3(自動)

くわしくは 2-4 縁取りエンボス へ。

スケッチブラウザで、描いたものを管理する

左下の スケッチブラウザ には、描いたものが一覧で並びます。カッター・エンボス・スタンプ台は、ひとつの「セット」(ここでは「洋梨(セット)」)にまとまっています。複雑なオブジェクトの際は、ここで整理して管理していきます。

スケッチブラウザ。洋梨(セット)の行、文字「Pear」の行(テキスト・エンボス)、下絵の行が並び、目と鍵のマークがある。右上にフォルダのボタン
操作はたらき
文字の行文字は、⑨でアウトライン化するまで「テキスト」の行になります


▼ / ▶セットやフォルダを開く / 閉じる
目のマーク表示 / 非表示(隠したものは3DにもSTLにも出ません)
鍵のマークロック
名前をダブルクリック名前を変える(「洋梨」など)
右上のフォルダのボタン選んだセットを、フォルダにまとめる
もう一度保存しましょう 縁取りまでできたら、保存 → 上書き保存。このあとアウトライン化すると文字は打ち直せなくなるので、文字のままの形を残したいときは 別名で保存 にしておくと安心です。

⑨ 文字をアウトライン化して、グループにする ⌘A ⌘G

カッターだけを選んで大きさを変えると、中の文字は一緒に変わりません。型と文字をひとまとまりにするため、グループにします。

文字は、打ち直せる「文字」のままだとグループに入りません。先にアウトライン化して、文字を線にします。

  1. T で文字ツールにして、「Pear」をクリックします。文字のパネルが開きます。
  2. アウトライン化 を押します。文字が線(エンボスのまま)になり、選ばれた状態になります。
文字のパネル。エンボスのボタンの上にアウトライン化のボタンがある
文字のパネルの「アウトライン化」
アウトライン化したPearの文字が線になり、青い枠で選ばれている
アウトライン化した文字。線の形を直せるようになる
アウトライン化したあとは 文字の打ち直しやフォントの変更はできなくなりますが、グループ化したり、線の点を動かして形を編集できるようになります。

続けてグループにします。

  1. ⌘A で全部を選びます(Shift+クリックで1つずつ足しても選べます)。
  2. ⌘G でグループにします。どれをクリックしても全体が選ばれ、移動も大きさも一緒に変わります。
  3. グループの解除は ⇧⌘G です。
グループにした洋梨のカッターと文字の全体が、青い枠で選ばれている

⑩ ステム(押し手)を付ける U

ステムは、スタンプ台を押し出すための取っ手です。型とは別の部品として作ります。

  1. U でステムにすると、パネルが開きます。
  2. 円柱 を選び、径 8 mm・高さ 25 mm のまま 確定 を押します。型の右横に置かれます。
ステム(押し手)のパネル。円柱が選ばれ、径8mm・高さ25mm・個数1、下に確定のボタン
ステムは型の外に置く ステムは、置いた場所にそのまま立ちます。型の中に置こうとしたり、型の中へドラッグしたりすると、自動で型の外のいちばん近い所へずれます。
スケッチの洋梨の型の右横に、青い丸のステム
3Dで、洋梨の型の右横に円柱のステムが立っている

印刷したステムは、スタンプ台の裏(模様のない面)の真ん中に、瞬間接着剤で貼り付けて使います。

スクエアのステムは ツール辞典の「ステム(押し手)」 へ。麺棒や板で押すと型の縁で止まる JustStem は、ステムのパネルか スタンプ台のモード で選びます。厚い材料の押し出しは、スタンプ台のモードで選びます。

⑪ 画面を動かす(スケッチの下のミニバー)

スケッチの下に、よく使う操作のボタンが並んでいます。上の小さな文字がキーです。

スケッチの下のミニバー。H、⌘Z、⇧⌘Z、⌘C、⌘V、+、−、全体、ガイド、固定のボタン
ボタンはたらきキー
手のひら画面を動かすH(Space を押している間だけでも)
取り消し / やり直しひとつ前に戻す / 進める⌘Z / ⇧⌘Z
コピー / ペースト選んだ図形を複製する⌘C / ⌘V
+ / −拡大 / 縮小(マウスのホイールでも)⌘+ / ⌘-
全体描いたもの全体が見えるように表示⌘0
ガイド / 固定選んだ図形を、型にならない目安の線(ガイド)にする / ガイドを動かないようにする—

⑫ 3Dで確認する

右の3D画面に型が表示されます。ドラッグで回転・ホイールで拡大縮小。

⑬ STLに書き出す

画面下の 「 表示中の全てのオブジェクトをSTLに書き出す」 → まとめて1ファイルに書き出し を押すと、出力設定を聞かれます。

出力設定ダイアログ(そのまま/反転して書き出し)

スタンプは生地に押すと左右が逆になります。今回は文字が入っているので「反転して書き出し」を選びます(クッキーの上で「Pear」と正しく読めます)。ダウンロードされた .stl をスライサー(Bambu Studio・PrusaSlicer など)で開けば印刷できます。

できあがり

下絵 → なぞる(S)→ 役割 → 整える(V)→ 断面でカッターを仕上げる → 文字のエンボス(T)→ 線のエンボス(S・A)→ 縁取りエンボス → アウトライン化・グループ(⌘G)→ ステム(U)→ 書き出し。描画ツールで作るときは、いつもこの流れです。

茎は、焼いたクッキーにアイシングやトッピングであしらって仕上げます。

作品の保存 最後にもう一度 保存 → 上書き保存。保存のしかたは ⑤ のあと を見てください。